CEOブログ
2025年07月18日
日経コンピュータにヤマエグループホールディングス様のDXに関する取り組みが掲載されていました。光栄なことに、その取り組みの一部として、当社のシステムにも触れていただいておりますので、ご紹介させていただきます。
ヤマエGHD様は、本業である食品卸売事業の強化に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。傘下の食品卸売企業であるヤマエ久野を中心に、中核となる新システムを相次いで稼働させ、業務の生産性向上などで大きな成果を上げているとのことです。
ヤマエGHD様は2021年10月に持ち株会社体制に移行し設立され、2025年3月期には売上高1兆69億円と過去最高を記録しました。販売エリア拡大に伴う倉庫増加により、発注や在庫管理業務が複雑化し、これまでの「経験と勘、度胸」に頼る発注業務や、機能不足の旧システムに起因する課題に直面していたそうです。
この課題を解決するため、以下のようなシステムを導入されました。
■ AI需要予測システムの導入
2024年4月、ヤマエグループではAI需要予測システムを本格稼働させました。このシステムは、日立製作所と、ヤマエGHD傘下のリンネット、ヤマエ久野による少人数チーム(合計6~7人)により、約半年という短期間で開発されたとのことです。過去の発注実績に加え、小売店の特売情報や配送条件など、さまざまなデータをもとに、高精度な発注数を自動で算出する仕組みです。
その導入効果は顕著で、発注業務にかかる時間は、これまでの1日3時間から90分へと半減。さらに、管理倉庫数が14から17へと増加したにもかかわらず、発注業務に携わる人員は23.8人から20.2人へと抑制されました。これにより、経験の浅い社員であっても、システムが算出する「根拠のある発注数」に基づいて、自信を持って業務にあたることが可能になったとのことです。なお、導入にあたっては、いきなりシステム化するのではなく、紙からExcelへの移行を経て段階的にデジタルに慣れていく工夫も講じられていたそうです。
■ 新在庫管理システム(WMS)「Eagle」への刷新
また、在庫管理の分野では、約20年にわたり稼働していた旧システム(2005年稼働のスクラッチ開発)に代わり、シーネットが提供するパッケージシステム「ci.Himalayas/X」を新たに採用いただきました。採用理由としては、特に「食品の在庫管理に特化した機能があること」を高く評価していただいた点が挙げられます。
この新システムでは、従来の課題であった1商品につき複数の棚番を登録することが可能となり、保管場所の正確な把握が実現しました。2025年1月に最初の拠点へ導入され、同年6月時点ではすでに5拠点に展開。2026年11月までに全国30拠点への拡大が予定されており、合計で12億円が投じられているとのことです。
さらに、WMS刷新に合わせて、倉庫作業担当者が使用する業務用端末(ハンディー)約500台も新たに入れ替えられ、丁寧な操作練習の支援も行われました。その結果、仕分け作業の時間短縮といった実務面での効果も着実に表れているとのことです。
■ 今後の展望
ヤマエグループでは今後、業務管理部と営業など他部門との間で行われている情報共有や調整を、電話・メール・対面からシステムベースへ移行し、さらなる業務効率化を図る考えです。また、AIによる需要予測の精度向上を継続し、さらなる作業効率化のための新たな機器導入も検討されています。トラック運転手不足など物流業界の構造課題に対応し、安定した商品供給とサービスの向上を目指して、今後もDXに注力していく方針です。
本事例は、単なるIT導入にとどまらず、「現場に根差した改革」として大きな成果を挙げている点で、私たちにとっても非常に学びの多い取り組みです。これからもシーネットは、各業界の現場課題に寄り添い、最適なソリューション提供を通じて支援してまいります。