CEOブログ
2025年11月05日
CEOという立場は、ありがたいことに忙しい毎日です。
でも、忙しいからこそ、ちゃんと休むことも仕事のうちだと思っています。
この連休、ふと思い立って秋田・玉川温泉へ一人旅に出かけてきました。ネットで空室を見つけたのは前日。荷物は最小限。スマホと財布、着替えだけをバッグに入れ、上野駅へ向かいました。
朝の上野。いつもなら仕事モードで通り抜けるだけの駅も、この日はちょっと違って見えました。
東北新幹線「こまち」に乗って、まずは盛岡へ。途中から都市の輪郭が消え、緑と空が広がっていく景色に、「ああ、ちゃんと遠くへ来ているな」と実感しました。
そこからさらに在来線、そして車で山道を登ります。道中、「熊出没注意」の看板が何度も目に入り、少しだけ背筋が伸びました。
宿に着いて通された部屋は、テレビもない、4畳半の畳部屋。小さなテーブルと布団だけという、まるで合宿所のようなシンプルさでした。
でも、なぜか妙に落ち着くのです。窓の外には、目が覚めるようなまぶしい紅葉。赤、黄、オレンジ……まさにピークでした。スマホでは撮りきれない美しさでした。
温泉は言うまでもなく素晴らしかったです。pH1.2の強酸性。肌にピリッとくる感覚は、日常の疲れを洗い流すというよりも、“余計なものを削ぎ落としていく”ような感覚でした。
施設全体には、昔ながらの湯治場の空気が残っています。電波は弱く、テレビもありません。誰も大きな声を出さず、聞こえるのは風と湯の音だけ。
何もしない贅沢。時間の流れが、まるで別の世界のようでした。
一人旅でしか味わえない“整い方”でした。
予定もなければ、誰と話すこともありません。食事も黙々と、一人で静かにいただきました。最初は物足りなさを感じたのですが、次第に心がふわっと軽くなっていくのを感じました。
スマホを置いて、ただ畳に寝転がり、紅葉を眺めるだけで、心が満たされていきます。不思議な旅でした。
「効率」や「意味」を追い求める日々。けれど、ときには意味のなさの中にこそ、大事な“間”がある。
熊が出てもおかしくないような山奥の温泉で、そんなことをぼんやりと思った秋の一日でした。



